◆動物用多機能心電図検査

心電図波形 Cardisuny D700

心電図波形 Cardisuny D700
心臓が拍動するときに微妙な電流が発生します。その変化を波形として記録し、その乱れから病気の兆候を読み取ろうとするのが心電図検査です。動物に4つ電極をつけ、心電図を記録します。電極は軽くはさむ程度で痛みはありません。記録した心電図から、動物種や年齢に応じて適した解析がなされ、異常の有無を判定します。心臓全体の働きを調べることができ、心臓病の発見や診断、病状の把握、治療効果の確認などの有用です。

また、当院の機器では同時にSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を測定することができます。SpO2とは、動脈血の中に酸素がどれくらいあるのかを示す数値で、呼吸状態の指標になります。特に呼吸器の病気や緊急時に重要です。

本医療器具の特徴は一般的な心電図検査の他に、QTc とR-R変動率(CVR-R)という項目が重要でしょう。
動物が重篤な場合に重要なのがR-R変動率(CVR-R)です。この数値は犬のみ適応です。

心電図検査

●R-R変動率(CVR-R)= 自律神経の機能を示す

自律神経とは、意思とは関係なく無意識のうちに働く神経で、胃や腸の働き、心臓の拍動、代謝や体温の調節など、動物が生命を保つうえで欠かせない働きを担っています。
自律神経は、正反対の働きをする「交感神経」と「副交感神経」に分けられます。
交感神経は活動時、緊張したとき、ストレスがかかったときなどに働き、副交感神経は、休息時、睡眠時、リラックスしたときなどに働きます。

心臓も自律神経にコントロールされており、息を吸うときは交感神経の働きで心拍が速くなります。逆に息を吐くときは副交感神経の働きで心拍がゆっくりになります。
これを呼吸性不整脈といい、自然な現象です。

この差を数値化したものがR-R変動率で、自律神経の異常が分かる検査方法です。
R-R変動率が0%に近づくと、自律神経による心臓のコントロールが失われている状況で、死亡率が高まります。
※猫は参考値です。正常でも低い数値になることがあります。

6%以上    : 正常
1.00~1.99% : 予後不良
0.00~0.99% : 1週間以内死亡率 80%
※痴呆症や交通事故によるショック状態では例外です


●QTc = 心筋の衰えを示す

QTとは、心電図のQ波からT波の終わりまでの長さのことで、心室が収縮して拡張するまでの時間を示しています。心筋が衰えて、収縮から拡張までに時間がかかるようになると、QTが長くなる傾向があります。
ただし心拍数に影響を受けるため、補正した値であるQTcを用いて評価します。
300以下     正常
300~310     心不全を疑う
310~320     心不全のコントロールを開始
320以上     重度の心不全、直ちに治療を開始

この検査は、心臓の薬を内服しての効果判定にも利用することができます。重篤な心臓病でも薬でうまくコントロールできているとQTcは正常値の場合が多いです。